起業とアイデア 2013 9 15
書名 人生の達人 2013年第3号 歴史人増刊9月号
この雑誌には、農業の起業について記事があります。
「中高年の起業、転職で人気が高いものの1つが、農業だ。
田舎暮らしとセットで語られ、ある種の憧れもある」という。
しかし、現実は、なかなか厳しいものがあります。
農林水産省の試算では、
稲作だけで250万円の年収を得るには、
860aの農地が必要となる。
逆に露地野菜で最も作付け面積が小さいナスは、
20aの農地で足りるが、
10aあたりの労働時間は、
1049時間で、稲作の38倍となる。
つまり、収益を上げるには、
大きな土地で農業をするか、
小さな土地で手間ヒマをかけるかの選択になるとあります。
収入面では厳しい農業ですが、
それでも、金銭では計れない魅力があるという。
都会に住んでいる人が、農業で起業するポイントは、
まず「週末農業から始めて、生活、収入の安定を考える」ということでしょう。
農村に生まれ育った私から見ても、
これは、非常に重要なことです。
都会とは違って、田舎には独特な風土や環境があります。
それに慣れる苦労と、農業を習得する苦労で、
たいていの人は、挫折すると思います。
だからこそ、まずは「週末起業」から始めるべきです。
月曜から木曜までは都会で働き、
有給休暇も使いながら、
金曜から日曜日は、農場がある田舎で働くという方式がよいと思います。
さて、話題は変わりますが、
この雑誌には、「REIT」の記事もあります。
REITとは、不動産投資信託のことで、
アパート経営などの不動産経営とは違います。
家賃を得るという点では似ていますが、
REITでは、投資家から集めた資金で、
REIT法人がビルやマンションを取得し、
その家賃を投資家に配分するという方式です。
玉川陽介氏の記事によると、
REIT先進国のアメリカでは、
数万の携帯電話基地局に投資するREITがあります。
それどころか、「刑務所REIT」もあるという。
アメリカでは、刑務所の「入居率」が高いので、
そういうREITも成り立つかもしれません。
これは、刑務所の民営化とセットで考える話でしょう。
日本も、金融庁と国土交通省でアイデアを出して、
REIT先進国のアメリカを参考にしながら、
こうした分野のさらなる発展を考えるべきでしょう。
金融庁は「取り締まり官庁」だけでなく、
「アイデア官庁」にもなる必要があります。